中古で買取りました ホンダ 4ストローク BF15D-20D です。デコンプ機構 が採用された モデル で スターター(ロープ引き) が 超軽な モデル です。今回は 第三者に売却するために メンテナンス を行います。船外機の 調子が悪い… 近所にメンテナンス店が無い… このような ケースでお困りの方はこのような ケースでお困りの方は ムサシオーバーホール (財団法人 尾道海技学院 4ストロークエンジン マリン整備士講習終了認定) まで お問い合わせ ください。近県でしたら ピックアップ からの配達も可能(牽引免許&牽引トラックあり)です。
タイミングベルトの交換でホンダのBF15D-20Dを強化 – メンテナンス日記
今回は 図にあります タイミングベルト を交換します。エンジンの動力をクランクシャフト から カムシャフト に伝動させる重要なパーツです。ベルトですので 劣化時間 が他の パーツ に比べると 極端に短いです。マーキュリー社 からの メンテナンスアドバイス によると タイミングベルト交換時期 は 三年毎 or 300時間 となっております。だからといって その間は ノーメンテナンス でよいという訳ではありません。途中、ベルトにヒビが入ってきたり キズがついた 場合には自身で メンテナンス をする必要があります。過去には 走行途中にベルトが切れ、エンジン を焼いてしまった方も 居られます。数百円のパーツ代金ですが 破損させた 場合には 修理費用が最も高額になる パーツと言っても過言ではないでしょう。いずれも サービスマニュアル を参照しながらの オフィシャル です。今回は ①フライホイール ②タイミングベルト ③フライホイール プーリー&ホルダー ④クランクシャフトナット ⑤タイミングベルト ⑥組み立て と トルク の工程で進みます。上記 の作業を クリックする事で 記事の アンカーヘジャンプ する事ができます。
マリン整備系おすすめ教材
船外機メンテナンス の バイブル的 な存在となるのが SELOC社 (米国ウェストチェスター) から発売されている 船外機メンテナンス教本。電話帳位の厚さで 各ファンクション毎に 整備手順 がミッチリと書かれています。アメリカのB.A.S.S のメカニックチームも一押しています。全て英語ですが TOEFL550点/TOEIC600点程 とれれば 理解 できるレベルです。ただただ 近年の 最新モノ船外機 は 車と同じく 全て 電子制御 となってきているので 修理は アッセンブリー交換 となり メーカー さんしか 対応(解らない) できないかもしれません。
次に こちら の日本海洋技術専門学校(尾道海技大学校) が 発行 している マリン整備士教本。こちらの内容は少し古いですが 全ての 基礎 と 基本 がミッチリと書かれています。日本国内の マリンエンジン(船外機) 関係は 閉鎖的 で 閉ざされた業界なので貴重な 資料 となります。ちなみに こちらの学校では マリンエンジン整備士 と マリン船体整備士 の講習、民間資格認定を行っている。区分を 1~3級に分け、16歳以上なら 誰でも受けられます。
タイミングベルトとは
その前に予習です。まず 4ストロークエンジン の 規則的 な 回転運動 は 4工程から成り立っています。吸気→圧縮→燃焼爆発→排気 [img] を 適切 な 連動タイミング で 繰り返す(サイクル) 必要があります。タイミングベルト は 写真左側 のベルト 及び チェーン となります。役割は エンジンの 規則的 な 回転運動 を クランクシャフト と カムシャフト 同士のタイミングを バルブの開閉運動(上部) へと 連動 させることです。ベルトには コマ数 があり 予め 運動 と コマ数 が設定されております。余談ですが、よく 中古車を購入する際に 「いつタイミングベルトを交換したか?」と執拗に尋ねてる 方がいますが 正しい事だと思います。「たかが ゴムベルト と思いますが」もし 切れたら とんでもない事となります…
フライホイール
まずは フライホイール 上部に 被せられた カバー を外します。
そして フライホイール の上に トリガー爪 のついた スタータープーリー も外します。
タイミングベルト ~マーキング作業~
次に 確認作業と人的ミスを防ぐために マーキング作業 なる モノ を行なっておきます。タイミングの位置は既に定められています。フライホイール側 は後方部に向かって 12時 の所に △Tマークがあります。この マーク は ピストン、バルブ開閉。つまり 圧縮上死点(top dead center a.k.a TDC) と 圧縮下死点(bottom dead center a.k.a BDC) の印となります。[img]
次に ドリブンプーリー側 は 16時 の所に △マークがあります。ベルトを装着する際には両方供に これら の タイミング位置をセットする必要があります。これが ズレる と エンジン の調子が100%発揮できないのもちろんのこと いつか エンジン は壊れます。
フライホイール プーリー&ホルダー
そして 次に フライホイール を外すのですが フライホイール は円盤状で クルクル と回転してしまうので 特殊工具で フライホイール を抑えながら ボルトを外します。まな板の ウナギ を 抑えるような 治具(ジグ) です。ホンダマリン の場合は 車用の エアコンクラッチホルダー が 流用 できます。
これを 少し加工しまして エクステンションバーハンドル 約45cm を装着(右側)。ソケットレンチ も 1/2 ハンドル長さ 約45cmサイズ のモノを装着、写真のように セット します。長いハンドルの 工具 を使えば 少しの力 で済みます。必ず力が入る方の 工具 を利き手側 に持ってきて構えます。フライホイールは 非常に硬い時があり 工具が滑って 怪我 をしたり、ナットを舐める 恐れがあります。*写真は 撮影用 に工具をセットしたモノです。外す時 はラチェットは使用しないでください。
ナットが外れましたが フライホイール は固着して抜けないのが 普通です。
先程の フライホイールホルダー の中心に セッターナット 取り付けます。そして フライホイールプーラー に トランスフォーム させます。そして グリグリ とボルトを回します。
バキッ と音を立てて外れました。フライホイールの裏側は大抵 サビが発生しているので クリーニング を行なってから 錆止めを噴いておきます。
そして スターター を外します。
そして 次にクランクシャフト にセットされた 30mm のナットを外しますが…
クランクシャフトナット
これを外すにも 特殊なナット(非売品) が 必要です。写真の様に上から見ると 切り込み が入っているだけに見えますが 裏から見ると クランクシャフト に合わせてテーパー状になっています。自分は 南アフリカ の ソマリア海賊船(?) をチューンしている グレー なショップ ボトウェー店 から 売ってもらいました。
スポッとね!
レンチ も ハンドル長さ 約45cmサイズ のモノを装着、写真のように セット します。長いハンドルの 工具 を使えば 少しの力 で済みます。必ず力が入る方の 工具 を利き手側 に持ってきて構えます。クランクシャフトナットは 非常に硬い時があり 工具が滑って 怪我 をしたり、ナットを舐める 恐れがあります。*写真は 撮影用 に工具をセットしたモノです。外す時 モンキーレンチ は使用しないでください。スパナが望ましいです。
タイミングベルト
古いタイミングベルト が外れました。左右が ケバ立っているのと ヒビ が入っています。
新しい モノ が到着!
やっぱり ブランドニュー はいいですね。
パーツ類 は 刻印 がある 方向 が 上 となります。プーリー(歯車)にも キズ や 異常がないか 必ずチェック を入れます。
組み立て と トルク
いよいよ組み立てます。バラした順番と全く同じです。こちらの ナットの トルク値 は 69.2N・m (ニュートンメーター) [詳細] です。*エンジンメーカーによって トルク値(N/kg) は違います。かならず最寄りの マリン整備士 が 在籍するショップでご相談ください。
こちらの フライホイールナットの トルク値 は 132N・m (ニュートンメーター) [詳細] です。船外機のパーツ構成の 中で一番強く締める 箇所 となります。*エンジンメーカーによって トルク値(N/kg) は違います。かならず最寄りの マリン整備士 が 在籍するショップでご相談ください。
完成!そして 作業終了後 には必ず 試運転 を行います。人間が行う作業なので 時として上手くいかない事も必ずあります。全ての動きを試してみて 異常な音がしていないか? や 動作が重くないか? を 必ず 確認します。そして今回も無事作業は 終了 となりました。ギアケース分解組立て編 もあります。